たまTSUKIに行ってみた
6月のある日、
「ORGANIC BAR たまにはTSUKIでも眺めましょ」
に妻と行ってきました~
インスタグラムでもアップ↓
タイトルで『~~行ってみた』なんて、
いかにもキュレーションサイトの記事風な
言い回しをしてみましたが、
実際は初めての来店ではありません。
たしか3、4回目くらいかな?
1人でたまTSUKIを営むオーナーの髙坂勝さんは、
これまでに累計だとおびただしい数のお客さんを相手していらっしゃるにも関わらず、
全然常連とは言えない、1年以上も顔を出していない僕のことを、
前職や今の仕事まで含めて覚えていてくださっていて、すごく嬉しかったです。
フェイスブックやインスタグラムにこの日の来店を投稿したところ、
髙坂さんご本人のフェイスブックのタイムラインにシェアしていただけたのも
光栄に思います!^^
少ない来店数でも僕のことを覚えてくださったのは、
もしかしたら、僕の前職の会社の後輩がこのお店を紹介して間もなく退社した、という
いきさつがあることも印象づいているひとつかもしれませんが・・
・・まぁ、そういう個人的なエピソードは
ブログじゃなくてメルマガの方に書きます(笑)
さて、このブログの読者さんの多くは、
このお店と髙坂勝さんをご存知だろうと思います。
・「ダウンシフト」という概念の提唱者
・緑の党グリーンズジャパンの初代共同代表
としてご著名な方ですね。
もしたまたま、まだご存知でなければ、
彼のご著書は全国民必読!
と言いたいくらいの良書なので、ぜひ読んでみてください^^
『減速して自由に生きる: ダウンシフターズ (ちくま文庫) 』
ところで、
農業・エコ関連のイベントなどリアルな場で会う人と話してみて感じることですが、
髙坂さんのお名前やご著作をご存知であっても、
お店に行ったことがある方は思ってたよりも少ないようなので、
彼の生き方・考え方を体現しているお店にも
ぜひぜひ足を運んでみてくださいね♪
さて、ここからが本題・・・というか、
僕がこの2~3年、
ずっと感じてきた違和感のようなものについて、
たまTSUKIで髙坂さんと直にお話しさせていただいたこともあり、
ちょっと腑に落ちたことがありましたので、
このブログをご覧になった方にも共有したく。
それは、
「ダウンシフト=減速して生きる」の功罪
・・いやいや、
”そういうキャッチコピー”の功罪についてです。
ここでも僕自身、『功罪』なんていう、
ちょっと強めに目を引く、キャッチーな単語を選んでいるのも問題ですが、
誰にも『罪』なんてありません。
言うまでもないことですが、
髙坂さんや「ダウンシフト」という概念が
良い悪いの議論では、もちろんまったくありません。
(髙坂さんが尊敬すべき素晴らしい人物なのは大前提です)
「ダウンシフト」という言葉・キャッチフレーズは、
髙坂さんがルポライターの荒川龍さんとお話する中で登場し、
自分の生き方・考え方を示す表現として
しっくりきて採用した言葉だそうです。
この何十年かの日本やグローバル社会の、
「経済成長」「上へ上へ」の風潮に対するアンチテーゼとして、
「ダウンシフト」「減速して生きる」は
とても強く、印象的な、
素晴らしいキャッチコピーだと思います。
なにより分かりやすい=イメージしやすいですしね。
上昇志向や効率主義、経済発展・成長のために
人間の生物本来のリズムを崩すような生き方、社会構造・・
このような風潮に一石を投ずる、
「スローでゆったり」「競争から”降りる”」
を提唱した「社会運動」の一形態として、
エコ系志向の人々の中では一大ブームとなりました。
ただ、ここで本当に注意していただきたいのですが、
髙坂さんが伝えたい・訴えたいことは、
”これだけではありません”
「ダウンシフト」の考えに少し触れると、
短絡的な反応としては
おおまかに以下の2つが出てきます。
・経済成長を目指さないなんて、なんて向上心のないやつだ!けしからん!
みんながそんな社会を目指したら、国(経済)が崩壊するじゃないか!
・そうそう!たしかに!言いたいことを言ってくれた!
もう私は頑張らない!(←ここまではいいんですが・・)
お金なんかいらない!仕事辞める!(←いきなりこれでは「飛躍」です・・)
髙坂さんは
「昼寝三昧」「もう頑張らなくていい」
とは確かにご著作の中でも書いていますが、
「働かなくていい」わけではないです。
むしろ、雇われない自立した働き方を推奨しているわけで、
組織の中でお給料をもらうよりも、
かなりアタマを働かせて「ビジネス」をすることになります。
※この文章では「ビジネス=お金をいただく活動」とします。
経済成長は批判していますが、
経済活動は否定していません。
むしろ、立派に「経済活動=ビジネス」を実践し、
成功されています。
もちろんその経済活動(お店の経営)について
ご著書の中にも詳細に書かれています。
実際、髙坂さんの行動量は
客観的に見て多いと感じます。
その行動への心の向き合い方と
1日の時間の配分の仕方が、
「心に余裕をもっているかどうか」であり、
「一生懸命やっていないわけではない」のですね。
見せ方として、「のんびり気楽にやってますよ~」
という表現はしていますけど。
髙坂さんご自身は、
「人生における成功者」なのはもちろんですが、
農業・エコ系な人たちがちょっと避けたがりそうな、
「経済的な成功者」
でもあると思います。
実際、ご自身で作り上げたビジネスによって
貯蓄もできているし、
(精神的に)豊かな生活を実現なさっていますからね。
ちなみに、
「経済成長の否定」について批判的な意見に関しても、
ご著作の中にちゃんとお考えを書いてあります。
(きっと、直接なり間接的なり、そういう批判をもらう場面が多々あったのでしょうね)
中略しながら抜粋しますと、
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私の夢見る社会は、「総自給的社会」。しかし、「誰もが」というのは現実的に難しいでしょうし、長い人生の中でアップとダウンのメリハリがあってもいい。人類全体がダウンシフターズになったら、多様性も選択肢もなくなってしまう。私がダウンシフトを勧めるのは、アップを目指さねばならないという価値観に支配されていることに風穴を開け、違う価値観と生き方を提案して選択肢を増やしたいからです。世の中の半分くらいの人がダウンシフト志向になるくらいがちょうどよいと思っています。
************
「ダウンシフト」を一瞥(いちべつ)して一蹴するような人は、
たぶん、
テレビ番組で切り取られた情報だけ見たり、
http://www.dailymotion.com/video/x13hb1t
どこかの紹介記事だけを見て、
彼の著書も読んでいないか、
読んでいても読めていないのでしょう(苦笑)
※ちゃんと読み取れていないのは「僕自身も含めて」です。
「情報発信」の多くの場面で、
発信する側が過不足なく表現できたとしても、
情報を受け取る側が「早とちり」するものです。
また、キャッチコピーやキーワードなんてものは
「文章の”取っ手”にすぎない」
と僕は思うようになりました。
大きくて重たい荷物も、
取っ手をつけることで持ち運びしやすくなる(扱いやすくなる)。
言葉にすると長々とした文章になってしまう考え方を、
「キーワード」や「キャッチコピー」に変換して短縮したものを、
次の文章に登場しやすくする役割がある。
そういう便利な道具が
「キャッチコピー(キャッチフレーズ、キーワード)」
なのだと思います。
ただ、それは全体のうちの一部にすぎず、
ましてや「本質」を表してもいないのです。
僕もブログなど普段から文章を書く方なので、
便宜的にキーワードを多用したり、
何か良いキャッチコピーを思いつかないかなぁ~
とよく考えていますが・・・
それに頼りきりにならないように気をつけなきゃ!
また、
ここでこんなことを書いている僕自身も、
髙坂さんの「ダウンシフト」に限らず、
いろんな場面でも
氷山の一角だけ見て深いところを理解できてないはずなので、
自省の念を込めて、書いてみました。
これからも僕は夫婦共々、
髙坂さんとのお付き合いを深めて
微力であってもできるだけ協力していきたいと思っています。
それではまた!
ブリッジライターNAO
※本記事は、ブログ『インターネットと農業』での記事のリライト版です。